マルバアオダモ(丸葉青梻、学名: Fraxinus sieboldiana)は、モクセイ科トネリコ属の落葉高木。雌雄異株。別名、ホソバアオダモトサトネリココガネアオダモコガネヤチダモ

名称

和名のマルバは、葉の形や葉先が丸いことを表すわけではなく、葉縁に明瞭な鋸歯がなく滑らかであるためといわれている。葉の形の実態を表す別名として、ホソバアオダモ(細葉青梻)がある。中国名は、盧山梣。

分布と生育環境

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、低い丘陵や山地に生育する。アジアでは朝鮮に分布する。

特徴

落葉広葉樹の高木。樹高は5 - 15メートル (m) になる。樹皮は青灰色や暗灰色、滑らかで生長による変化が少ないが、老木になるとひび割れてくる。若木の樹皮は白っぽい斑が入る。一年枝は細く灰褐色で皮目が多い。

葉は、長い葉柄をもって枝に対生し、3 - 7小葉からなる奇数羽状複葉で、小葉の形は卵形から卵状長楕円形になる。葉の先端は鋭尖形で、基部はゆがんだくさび形で、葉身の長さ 3 - 10センチメートル (cm) 、幅1.5 - 3.5 cmになる。ふつう葉の裏面の中脈沿いに白毛が生えるが、のちに無毛になる場合がある。葉柄や葉軸にはじめ毛があるが、のちに無毛になる。葉の縁はほぼ全縁であり、鋸歯は不明瞭で波打つ程度。同属のアオダモ(学名: Fraxinus lanuginosa f. serrata)には明瞭な鋸歯がある。

花期は4 - 5月。雌雄異株。今年枝の頂や葉腋に円錐花序が数個対生し、白色の4弁花を密に咲かせる。芽吹いたばかりのときの花序は、地味な色合いをしている。花弁は線形で長さは6 - 7ミリメートル (mm) 。雄蕊は、雄花、雌花(両性花)ともに2本あり、雌蕊は雌花(両性花)に1本ある。果実は長さ2 - 2.7 cmの翼果となる。翼果は倒披針形で細長く、多数つく。

冬芽は広卵形や卵形で、青灰色の独特な色合いを持ち、芽鱗は2 - 4枚で粉のような毛が密生する。枝先の頂芽は側芽よりも大きく、頂生側芽を伴い、その他の側芽は枝に対生する。葉痕は半円形で維管束痕が多数並ぶ。

脚注

参考文献

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、49頁。ISBN 978-4-416-61438-9。 
  • 佐竹義輔ほか編『日本の野生植物 木本Ⅱ』平凡社、1989年2月。ISBN 4-582-53505-4。 
  • 永田芳男『樹木(春夏編)』山と渓谷社〈山渓フィールドブックス:新装版 12〉、2006年11月。ISBN 4-635-06069-1。 

マルバアオダモ

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